concept of "GARDEN(2009~2019)"


ヨルニトケルというバンドを始めるにあたって、曲を書き始めたのが2009年の3月でした。

 

これが所謂「気が触れた3月」というやつです。

「新宿に散る」と「地下室の夏」という曲がすぐに書き上がりました。

 

それぞれ歌詞の中に「3月」と「8月」という単語が入っています。

後に初期のデモ音源の表題曲となる2曲ですが、実はこの音源の段階から、今回発表する「Garden」に至るまで、その全体を通して「1つの大きな物語を展開していく」という構想がありました。

 

これまでのヨルニトケルの楽曲を聴いてきている方の中には、歌詞の中に見える世界観であったりとかを読み解き、「楽曲同士がリンクしている」ということに気付いている方はいらっしゃるかと思います。

音源単位であったりとか、一定の曲同士の繋がりであったりとか。

 

ただ実はそれは断片的な情報に過ぎず、僕の書いてきた(一部の劇伴曲等は除きますが)曲たちは全て「GARDEN」という物語へと帰結するのです。

2016年に色々あって完結できなかった「tokyonize」は、あくまで劇中劇であり、「GARDEN」という大枠をいずれ明かす時の有力な鍵となる予定でした。

 

構想から10年が経ち、バンドが新体制を迎えた2019年。

本当に色々なことがあった日々でしたが、不意に「GARDENを完成させて、次の物語へと進みたい」という気持ちが生まれました。

ガーデン、自分の思考の箱庭からの解放を、自分自身が望んだ瞬間でもありました。

 

今回発表する「Garden」は、物語を完結させる為に用意された作品です。

だけど本当に不思議なことに「もっとヨルニトケルの世界に触れてみたい」と、引き込ませる魅力が過去最大に増幅された作品にもなっていると思います。

 

ここに「Garden」に収録される歌詞を置いておきますので、まずはあなた自身の目で、この物語のことを自由に想像してみてください。

後に、「GARDEN」は一つの文章作品としてもリリースします。

 

箱庭の楽園で僕が/あなたが視ていた夢について。

 

布施 達暁



羊の視た夢

words&music:布施 達暁

 

羊飼い達は夢に溺れて

終わりゆく世界を嗤っている

プログラムされた幸福の中

血を隠す

 

愛された記憶を失くしたまま

「優しくなりたい」と、真夜中にこぼした

童話には書かれていなかった

冷たい微笑み 赤い薬の意味を教えて

 

窓の外へ言葉が飛ぶ

「ねえ許して」

服を脱いで 嘘を着込む

 

顔の無い子供、箱庭の中

遊べないおもちゃで溢れている

守られるのは大人達だけ?

歪む未来、ここじゃ生きれない

 

ハイドランジア 咲いた夜に 消えた痛み

二度と無い春と 僕たちの浅はかさよ

赦されないなら この庭の外へ

 

嘘を吐く子供、白日の下

選べない呼吸を忘れてる

逃げ惑うのは大人達だけ

気が触れたままでいいよ

 

羊飼い達は夢に溺れて

終わりゆく世界で嗤うから

踠け 暴け 嘘を吐いて

羊数えて待つ 朝が来るよ



Garden

words&music:布施 達暁

 

瞼にそっと映した 優しい思い出は

此処で造られた紛い物

眠りについたあなたがいつか視た夢

まどろみの中へ消えていく

 

僕の神様は死んだよ

楽園に鍵を掛けて

色付いていた嘘の日々

空白に奪われて 透明になった記憶

 

此処には何も無くて それが僕の全てさ

悪夢の中でさえ笑えていたのに

 

過去に囚われてる 失った楽園

消えない僕らだけのジレンマ

美しかった季節は何色の夢?

知らないあなたを探してる

 

憧れるだけでいいなら

僕は天才だった

 

瞼にそっと映した 優しい思い出は

此処で造られた紛い物

眠りについたあなたはいつか視た夢?

箱庭の嘘

 

欲しがっていた言葉は誰もくれなかった

僕は僕から逃げられない

物語の最後は あなたの夢の中

 

身体を捨てるまで僕らは

此処から出られない

箱庭の楽園

 

身体を捨てたとして僕らに

未来は視えるの?

その先を知ったとして、あなたは?



記憶の車窓から

words&music:布施 達暁

 

魔女は静かに僕の中で消えてしまった様

僕は静かに君のことを回想

 

魔女はいつでも高笑いで罵っていたけど

夜が来る度、寂しそうに眠る/ヒトリ/視てた

 

手探りの彼方 気持ちの無い嘘に

リプレイ重ねて 今が見えなくなって

約束の行方 ガーベラは枯れて

魔法の夜が明ける

 

長い髪を揺らして 踊る君は綺麗で

白く咲いた いつかの花びらが

記憶の車窓に舞い落ちる

 

愛を語ったその口で

どうして僕を殺そうとするのさ

眠りの中へ消えるフタリ

 

息を切らして君のことを追い掛けていたけど

夜が来る度、魔法は薄れていった

 

匿名希望の朝 迎える度に

花瓶の水を換えようとした

優しくなりたい、なんて

今更、酷いでしょう?

 

君が僕にかけた魔法の言葉

思い出す度、景色が滲むよ

 

地下室/ヒトリ/魔女が嗤う

 

長い夢の終わりに 笑う君は幻?

赤く染まるいつかの花びらが

記憶の車窓を塞いでいくんだ

 

愛を語ったあの夜が

こうして現在に殺されていくのさ

記憶の中へ消えるフタリ

 

もう戻らない、無垢なあの日のフタリ

 

手探りの彼方 気持ちの無い嘘に

リプレイ重ねて 今が見えなくなって

約束の行方 ガーベラは枯れて

 

手探りの彼方 気持ちの無い嘘に

リプレイ重ねて 今が見えなくなって

約束は行方不明だ、さようなら

 

魔女は静かに僕の中で消えてしまった様

僕も静かに君の中で死にたい



henrietta -retake-

words&music:布施 達暁

 

彼女の気配、眠らない街、誘惑の2月

見えないフリして 消えたいフリして

傘を広げたら、僕は泣いてた

 

あなたの気配、降り出した雨、流れてく記憶

言えない本当のこと、癒えない深い傷痕

灰になった感情、秘密のままで優しく笑う

 

無邪気な顔で僕が連れ出した

嘘になる言葉、揺れるフタリ

全て忘れてよ キレイな夢を見てた

 

限られた日の棄てた頭で私は祈るの

壊された日々、青い時間はあなたで染まった

私は狂っていた

 

限られた日の棄てた頭で私は祈るの

壊された日々、青い時間はあなたで染まった

もう何もいらない

 

無邪気な顔で街を抜け出した

きっと僕らはもう戻らないよ、戻れないからさ

 

もう帰らないから

もう帰らないから